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「いい子症候群」とは?
思春期の不安・完璧主義・“がっかりさせる恐怖”の背景にあるもの
最近、「真面目で成績も悪くないのに、強い不安やパニックを起こす」「親をがっかりさせることを極端に怖がる」といったご相談が増えています。
いわゆる「良い子症候群」と呼ばれる状態です。これは正式な診断名ではありませんが、心理的には明確なパターンがあります。
外から見ると問題がないように見える。しかし内側では、強い緊張とプレッシャーを抱えている。それがこの状態の特徴です。
いい子症候群の特徴
次のような傾向が見られます。
- 親や家族をがっかりさせることへの強い恐怖
- 完璧主義・失敗への過度な不安
- 自分の怒りを出せない
- 「迷惑をかけたくない」と強く思う
- 家では緊張が強いが、友人関係では比較的自然
特に重要なのは、家族の前でだけ“良い子”になってしまうケースが多いことです。これは性格の問題ではありません。家族内での役割として身についた適応パターンです。
なぜ“いい子”になってしまうのか
多くの場合、背景にあるのは次のような無意識の思い込みです。
「期待に応えないと愛されない」
親が明確にそう言ったわけではありません。しかし、以下のような要素が重なると、子どもは自然に「期待に応えること」を最優先にします。
- 成績が重視される家庭環境
- 親の不安の強さ
- 努力や結果を大切にする価値観
- 感情、とくに怒りを出しにくい雰囲気
その結果、「失望を過度に恐れる」「親の感情を敏感に察知する」「自分の本音を抑える」という状態が形成されます。
症状として現れるサイン
いい子症候群は「いい子」であること自体が問題なのではありません。問題は、その裏で起きている緊張です。
よく見られる症状には以下のようなものがあります。
- 思春期の不安障害・パニック発作
- 嘔吐恐怖(エメトフォビア)
- 不眠・頭痛・腹痛などの身体症状
- 学校への強いプレッシャー
怒りを出せない子どもは、身体が代わりに反応することがあります。パニックは、抑え込まれた感情の限界サインである場合も少なくありません。
親としてできること
まず大切なのは、成績をどうにかすることではなく、安心感を回復させることです。
1. 愛と結果を明確に切り離す
「大丈夫」と言うだけでなく、実際に失敗を穏やかに受け止める姿勢が重要です。
2. 失敗を日常化する
失敗は問題ではなく、成長の一部であることを繰り返し示します。
3. 怒りを否定しない
反抗や不満は、関係の崩壊ではありません。安全に怒れる環境は、安心の証でもあります。
4. 親の不安を子どもに背負わせない
親の心配やストレスは親自身の課題です。子どもが家庭の安定を保つ役割を担う必要はありません。
これらの調整で改善するケースもありますが、すでに強い不安やパニックが出ている場合は、専門的なサポートが有効です。
こんな場合はサポートを検討してください
- 「がっかりさせたくない」と繰り返し言う
- 完璧でないと極端に落ち込む
- パニックや強い身体症状がある
- 家族の前でだけ極端に緊張する
- 感情をほとんど表に出さない
セラピーでできること
セラピーでは、以下のようなプロセスを丁寧に進めます。
- 「結果=自分の価値」という思い込みを緩める
- 家族の感情と自分を分ける
- 怒りや本音を安全に表現できるようにする
- 失敗しても関係は壊れないという体験を積む
- 身体レベルの緊張を緩和する
目的は「誰かを責めること」ではなく、無意識の緊張を解くことです。
最後に
良い子症候群は、問題行動ではありません。むしろ「頑張りすぎ」の結果です。責任感が強く、周囲を思いやれる子どもほど陥りやすいものです。
お子さんが「期待に応えるため」ではなく、「自分として安心して生きる」ためのサポートが可能です。
